2回目の攻撃を終えて、俺はソファにもたれ掛かった。

結果は☆3。1回目の攻めと合わせて☆6だ。

2回ともTH9のカンストを全壊する大活躍だった。

なのになぜだろう。

ちっとも嬉しくない。

あいつのせいだろうか。

俺は目を閉じて外から聴こえる虫の音に身を預けた。



半年前、俺は今のクランに入った。

対戦が好きだった俺は前のとこより対戦に積極的なクランに入りたかったのだ。

ネットでてきとうに探しただけだったが、対戦に取り組む姿勢が良くて、援軍がすぐに入るから俺はこのクランを気に入った。

俺がクランに入った時に、異様にうるさいやつがいた。それが桐島だった。

クランに入ってすぐ、

「よろしくお願いします。」

と言った俺に対して

「よろしくお願いします!!君どこ住み?カープは好き?ってかTwitterやってる?」

と矢継ぎ早に質問をしてきた。

めんどくさいやつに絡まれたと思った。だが新入りだったから無視するわけにもいかなかった。

「鳥取です。Twitterはやってません」

カープは好きだが言わなかった。

「鳥取って砂が降るってホント?」

いきなり変化球を投げてきた。

降るわけねーだろ!と心の中で毒づきながら

「降らないですよ^_^」と返した。

桐島はめんどくさいやつではあったが、ムードメーカーだった。

桐島がログインするとクラチャが異常な早さで流れ、桐島が喋るとみんなが笑った。俺も桐島の性格は嫌いじゃなかった。


当時、俺と桐島はTH8の終盤だった。

初めて桐島が攻めているのを見た時はとても驚いた。

普段の性格からは想像出来ないほど丁寧で綺麗な攻めを見た時、俺は嫉妬した。

その時から俺は桐島をライバル視して、睡眠時間を削って解説動画や自分の攻めを何度も見直した。

どんどん攻めが上手くなっていき嬉しかった。

そしてクラメンはいつしか桐島と俺をエースと言うようになった。

桐島を追いかけていたらいつの間にか他のメンバーを抜かしていたらしい。

だが、桐島には全然手が届きそうになかった。

全壊を取れても満足いかず、悔しくて何度も見直した。いつか桐島を抜かすために。




目を覚ましたのは早朝だった。考えているうちに寝てしまったようだ。

やっと気づいた。

俺はクラクラが誰よりも好きだった。